2004-2011

先日、北野にあるC.A.P.へ久々に訪れた。
作家の泰子興業さんから相談があり、ご自身が制作に携わったTシャツの撮影依頼だった。
神戸で打ち合わせに来ていた美術家の國吉文浩くんと共に訪れる。
鯉川筋から北へ、長い坂道を上がると山手幹線のところで途中から車が通行止めになる。下町のエリアにコロッケ屋や乾物屋、最近できたギャラリーが並ぶ道を通り抜けると山本通のC.A.P.がみえる。

ここへはじめて来たのは高校2年の時だった。
非常勤講師で美術を担当していた先生に教えてもらって1人で来た。
改装される前のC.A.Pは今とは雰囲気がちがった。
暗い廊下を恐る恐る歩くと藤本由紀夫さんの部屋があったり、アトリエが連なる。人の気配、この日は尺八を演奏するアーティストの人がいた。
部屋の外から静かに演奏する様子を眺めた。
いつかこんな空間を作って、絵を描いたりするんかな。
そんなことを想像した17歳。

この頃からひとりで美術館やギャラリーを歩いてまわっていた。大阪はgraf、番画廊やOギャラリーへ行った。京都はアートスペース虹や射手座、同時代、はねうさぎ、ニュートロン、京都芸術センターへ行った。
美術予備校へ通う頃、友人らとあちこち行った。大学を落ちた後はひとり、作家を名乗って、絵を描き、写真を撮り、ラップトップで音楽を作り、8mmで映像を撮った。
作家になって初めての展示は大阪のCASOだった。友人の卒業制作で関わらせてくれた。その展示を見た関係者から声がかかってCASOで開催するグループ展「JAPAN ART NEXT」に出展した。映像と絵画のインスタレーションを出した。
個展は京都のはねうさぎで開いた。はねうさぎはオリジナルの音楽CDを売る企画展に出した後、個展「Will you dance!」を開けることになった。この時は写真を出した。

さまざまな媒体で色んな作品を作りたかったんだろうと思う。好きなことをできるようになるまで磨き上げるのは楽しい。駆け足気分で作っていたが、いまいち社会との関わり…結果が出ない中で苦しかったのを思い出す。どことなくこんな生活を送ることのタイムリミットが近い感じがしていた時、2011年3月11日を迎えた。
あの日は寒くて、テレビの向こうでは雪が降っていた。

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