坂本さんの自伝を読んだ。 表題はかつてのアウシュビッツ強制収容所の入り口のアーチに記してあった言葉の引用である。 音楽は彼をどんな制限から自由にするのか。 外から見る世界とその実、中の世界は乖離がある。 思い悩もうと思えばどこまでも線路は続く。 恐れ多くも自分のことを重ねてみる。 わたし自身、どんな仕事も表現することであり、 その瞬間で何を生み出すか、悩みと解決・解放される覚えがある。 現在、社会現象としても人工知能が発達しているのを実感する。 そこには様々な可能性があり、音楽生成で応用することを取り組み始めている。 その一方で、生身の僕自身が感じて手を動かし、 知覚すること、表現することは、これからも生きている間は続くような気がしている。 坂本さんの新譜「12」が今日リリースされた。 整え切っていないスケッチのようなものと本人は但し書きをつけているアルバム。 これはたしかに彼の音だ。 大きな手術を終えるも、その死を前に、静かに光を握りしめて掴むような。 そういえば僕自身は子供の頃から暗いと言われることが多かった。 思うに1.17の経験の意味するところは大きい。傷ついていたのだろう。 とはいえ、一体何が人にそう思わせるのだろうと子供ながらに悩んだ。 今は違うことをよく言われるけれど...やっぱり外と中は違うんだなと思う。 そこについては、まだちょっとこれからも考えてみる。