矢野顕子さんのコンサートへ。
大村憲司、高橋幸宏、坂本龍一…
どの曲も、もうこの世を去った人たちとあっこちゃんが共に作った音楽が展開されていく。
でも彼女は彼らの名前も、居なくなったことにも直接触れない。
ステージにいる別の誰かが彼らが演奏したパートを再現をするということは為されない。
楽曲構成上、必要なことはあると思うけれど、
最も印象的になるような彼らが作った音は、空席となっている。
空席だけれどそこに在る音がある。
聴こえないのに聴こえる。
ステージからは彼らがかつて出していた音が頭の中で聴こえる。
その重ね方は、いわば能の体験のようだ。
セットリストはヒットメドレー状態だけれど、きっと意図はそういうことではない。
The YANOAKIKO、そこに今の彼女の音楽があった。
たのしく、かなしく、愛で満ちていた。
矢野さんはまだいきている。